東洋医学と導引健康法の不滅の名著『定本・東洋医学通史』のまえがきご紹介
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東洋医学と導引健康法の不滅の名著
■ 定本・東洋医学通史 編者まえがきより
この本は昭和八年に出版された石原保秀著 『皇漢医学及導引の史的考察』 を、読みやすいように書き改め、特に必要と思われる部分に注をほどこしたものである。
同書は上巻だけしか出版されていない。しかし石原氏は下巻刊行のために原稿を書き続け、それを 『医文学』 に大正十四年から昭和十一年にかけて、さらに『漢方と漢薬』 に昭和九年から十九年まで連載した。
ところが石原氏はその原稿を一冊にまとめる間もなく、昭和十八年に死去された。この本は、当然“下巻”として刊行されるはずだったそれらの連載分も合せて収録し、関係者の了解を得て 『東洋医学通史――漢方・針灸・導引医学の史的考察』 と名づけることにした。
ただし、二つの雑誌に連載されたうち、明治時代以降は割愛した。というのは、私の関心はもっぱら日本における導引の発展・普及の足跡をたどることにあり、明治以降は西洋医学の波に押されて、医療の表舞台からまったく姿を消してしまったからである。
ただ、西洋医学だけでは治せない病気も数多くあったので、明治以降民間で人気のあったのは、今日でいうところのいわゆる健康法の類であって、たとえば岡田式静座法、岩佐式強健法、江間式心身鍛練法というものであった。
この傾向は今日まで続いているわけだが、それらをみても導引はまったく姿をみせない。石原氏の著述から明治以降を割愛した理由はそこにある。
原著者の石原保秀氏はもともと漢学者であるが、大病を患い、西洋医学に見捨てられ、民間療法で克服した人物である。
それをきっかけに医療の歴史を研究することを思いたち、資料を集め、編集したのが同書である。
図版約100点収録、A5判上製本、美麗箱入り
■ 定本・東洋医学通史 ◆日本道観出版局◆