老子道徳経の読み方【まえがき公開】その2
早島天来著
『定本「老子道徳経」の読み方』は、
タオの実践者が、書き連ねた
わかりやすい『老子道徳経』です。
そのまえがきをご紹介しています。
【まえがき公開】その1はこちら↓↓↓
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『定本「老子道徳経」の読み方』【まえがき】その2
これまで日本では、この老子の思想というものはあまり重要視されてこなかった。孔子の儒教に比べて冷遇されてきたとでもいうべきだろうか。それは、時の権力者にとって、すべてにおいて儒教のほうが都合がよかったからである。
封建時代という階級社会では、修身や治国を「……してはいけない」調で説く儒教の教えは歓迎されても、「我執を放(ほ)かして楽しく生きましょう」という思想が受け入れられるはずがなかったのである。
しかし、現 在道家の思想が静かなブームを呼んでいる。なぜだろうか。それは、今日あふれるほどの物質文明の恩恵をこうむるあまり、精神的な拠 り所を失っている人々が非常に多いからである。人生とは何なのか、幸福とは何なのかを考えた時、はたして明確な答を示してくれるものがあるだろうか。富、 名誉、そんなものは死んでしまえば何にもならない。
答えは一つ、「健康で楽しく生きること」ではないのか。それが人間としての生き方の原点ではないのか。それを前面に打ち出してうたってきたのが道家であり、老子なのだ。
まさしく老子は生きているのである。
今日ほど老子の思想が注目されている時代はない。
なお、老子道徳経の“道徳”とは、宇宙には人為の及ばない法則(道)があり、万物はその道から本性(徳)が与えられる、というところから出たものである。モラルの意味ではない。
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